ユーコさん勝手におしゃべり

6月20日
 うっかりしている間に すっかり夏。
 じめじめした天気が続いて お散歩から遠ざかる数日を過ごした後の晴天の朝、自転車で近辺を一回りした。
 サルスベリの濃密なピンクが目に飛び込む。カンナも人の背丈ほどのところで 花を天に向けている。よそ様のお庭越しに、ブーゲンビリアが2階のベランダまでかけのぼって咲いているのが見える。
 梅雨に咲く菖蒲の花は盛りを過ぎ、遅咲きの花だけがそれなりの風情を添えている。堀切菖蒲園経由で、荒川沿いを木下川薬師さんまで行ってみる。目的は菩提樹の花の芳香だったけれど、花はすでに無く、木にはびっしりと緑色の実がついていた。去年は、もう10日ほど早く行ったのだった。
 「来年は、ちゃんとカレンダーと相談して来よう」 と自分に約束した。
 日差しが強くなり、夏至も近い。
 皆巣立ったと思い込んでいた堀切菖蒲園駅舎のつばめの巣に、カラになってから数日後、再びしっぽが見えた。6月10日のことだった。
 さいしょは巣材の草か何かの見間違いかと思ったが、翌日、くるっと向きを変えて黒と赤の顔を見せてくれた。抱卵している。三度目のヒナを見る日も近いだろう。
 同じころ、茨城・霞ヶ浦の妙義ノ鼻までバイクで行った時も、近くで巣作り中のつばめを見た。
 平日の妙義ノ鼻の駐車場には、草刈り作業の車と作業員以外誰もいない。無人の湿原の遊歩道を、無数の鳥の声、蝶の羽ばたきに迎えられて歩いた。
 近くにお店もないので、帰り道、農産物直売所で、簡易パックに入った焼おにぎりとかぼちゃ煮、キュウリ漬けを買った。レジで箸をもらい 外へ出たところのベンチに座ると、ななめ上方の壁に、二羽のつばめが交互にやってきては、くちばしで泥をはり付けていた。新たな巣を作っているつばめを見ながら、昼食を食べた。
 直売所には、とうもろこしを買いに、車がひっきりなしにやって来る。よほどおいしいとうもろこしらしいが、バイクでは持って帰れないので、泣く泣くあきらめた。
 すくすく育つ稲田に、トウモロコシ畑、ハス沼に囲まれ、おにぎりがおいしかった。
 今度行く時は、とうもろこしを買えるように装備をしていこう。

6月5日
 6月は鳥ではじまった。2日の朝、堀切菖蒲園駅ガード下のつばめが巣立っていった。
 1日に郵便局へ行く時 見上げると、今までヒナがひしめいていた巣の真ん中に、親鳥が胸を張って仁王立ちしていた。下で何かの取材クルーがカメラを向けていたので、その時は巣を守っているのかなと思ったけれど、飛び立つヒナを監督していたのだ。
 2日以降は、何度見上げても巣はもぬけのカラである。荒川土手で盛んに飛び交っている仲間たちと合流したのだろう。
 そしてつばめの巣立ちの同日の朝、店の3階の窓の外で、チッキョチキョと可愛い声がするので、そっと窓を開けてみた。店の前の道路を挟んで 真ん前にある電柱の6600Vと書かれた変圧器の下のパイプに雀が一羽入っていった。しばらくして出てくると、ひと鳴きしてまた別の一羽が中へ。今年はここで営巣するらしく、朝の楽しみが増えた。
 また、先日、荒川土手際の公園の大きな樹の下を、椋鳥のヒナが歩いていた。黄色いくちばしに黒白のくっきりした柄を持つ鳥だが、ヒナは色が全体にあいまいなので、それとわかる。所在無げに立ち止まっているヒナのそばに親鳥が降り立ち、地面をついばんでは口移しにエサを与える。周りを歩いて地面をついばむ親鳥に、ヒナはぴたりとついて歩く。時々、「ください。ください」と親のくちばしをつつくが、親だって そう楽々と一回分のエサが収穫できるわけではない。そのうちヒナも親の真似をして地面をつついてみている。
 親鳥が行ってしまうと、バタバタっと羽ばたいて真上の木の枝にとまった。この樹上が、一人立ち直前、まだ遠くへは飛べないヒナの安全地帯なのだろう。
 土手でも公園でも天敵がなく、人々も優しいので、鳥たちは年々数も増え、警戒心も薄らいでいる気がする。
 今週の極めつけは、都立水元公園のアオサギだ。
 菖蒲も見頃となったろうと、店主と水元公園の菖蒲田へ自転車に乗っていった。昼までには帰って店を開けるので、早めの昼食をもって朝のうちに出かける。
 菖蒲田の前のベンチに腰掛けると、目の横に大きなアオサギが歩いていた。カメラを構えても逃げるでもなく自分の狩りに専心している。ゆっくり歩いて菖蒲田の端の用水路のところまで来る。私のすぐ目の前で、「お写真どうぞ」というように立ち止まった。水の一点にロックオンした次の瞬間、見事にどじょうをくわえていた。バタバタするどじょうをくわえたまま菖蒲の花の中へ戻り、ゆっくり上を向き慎重に飲み込む。なかなか入ってゆかないのか、天を仰いで喉を揺さぶり 大きく2度口を開けた。その様子を静かにデジカメに収める。
 よく釣り人のおじさんの釣果をもらっている姿を見かけていたが、自分の狩りの最中にカメラを向けられても、水元のアオサギはまったく動じないのだった。
 そのあと、木陰のベンチに移り お弁当を食べていると、私たちのすぐ横にとめた自転車のタイヤの上に雀がとまった。「こんにちは」とあいさつに来たようだった。店主が、食べ終えたお弁当箱にのこったご飯粒をタイヤの上にのせてみたが、ベンチの上に茂った枝に飛んだ雀は もう降りてはこなかった。
 ものみな育つ季節、うちの店横でも、今までおいしく食事をしていた飼いカメに、エサを食べない日がでてきた。上野動物園のパンダも、「食欲不振で妊娠の可能性」だそうで、配偶者のいないうちのカメは、妊娠はしないけれど、今年も産卵するらしい。たまごを産む場所を探しているのか、配偶者を探しているのか、落ち着かない。
 例年通り、黒土のどろんこを水槽に入れたら、たいそう喜んで、出たり入ったりして体中どろんこになって小庭を歩き回っている。
 梅雨入り前のひととき、小さな生き物を見物しては、その変化と遊んでいる。

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