ユーコさん勝手におしゃべり

9月28日
 月のない空に 木星が輝く。
 空が高くなった。朝晩は空気も乾いてきて、窓を開けるといい風が かよってくる。
 寝室の障子を開くと、天に木星がポンと貼り付いていた。 窓際に横になって、目のはしに時々木星を入れながら、本を読む。目が重くなり眠さがやってきて、電気を消した。
 網戸越しに木星を浴びながら寝る。
 月の輝きが好きで、ほんとは月が見たいのだけれど、月は今、新月で見えない。
 毎日ごちそうばかり食べていたら、ごちそうのうれしさが無くなっちゃうもんね、と自分に言いきかせて、月のふくらむまであと数日を待つ。
 ごちそうといえば、先日店主と二人で、埼玉の鷲宮へ出かけた。目当てはおいしい蕎麦とうどんの店だ。蕎麦好きの店主が、時々むしょうに食べたくなる。私は、もともとうどん屋さんだったその店のうどんをひいきにしている。
 気楽に行くにはちょっと遠いが、旅というほどの距離ではない、ほどよい距離の別天地、である。コロナ禍で、この店ともご無沙汰していたが、あいかわらずたいそう美味しかった。
 幸手の権現堂堤へ立ち寄ると、土手が一面の彼岸花で赤く染まっていた。
 「曼珠沙華まつり」の看板が立つ駐車場に車を止めて、500万本(!)の花々の中を歩いた。
 おなかも心も満足しての帰り道、埼玉から都内に入り、カーナビをTVに切り替えると、ニュース番組中で、「今、都立水元公園の彼岸花が見頃です」と、その日の映像を流していた。
 その時車は、ちょうど水元公園の真横を走っていた。店主と顔を見合わせて
 「灯台もと暗しだねぇ」
 「明日の朝は、水元公園へ自転車で行くか」 と笑った。
 今週はどこも、曼珠沙華ウィークである。

9月21日
 先週、茨城・栃木・福島を巡るあちこち散策の旅に出た。お米や栗にぶどう、梨にりんごと、車で道路を走っているだけで秋を感じる。まぶしく白い花が拡がるそば畑も眼福だった。
 台風14号が来る前で、おおむね好天だったが、那須高原へ入ると、霧雨が降ったりやんだりしてきた。
 空模様を見ながら、雨のやみ間に、那須平成の森を探検した。フィールドセンターの建物に戻ってくると、また雨が降り出した。雨宿りもかねてひと休みする。ベンチ回りの書棚から、ソロー『森の生活』の題名が目に入り、その色味と絵柄にひかれて手に取った。
 霧雨のやむまで読み、書棚に戻すときに題名をメモした。
 いそっぷ社、「ソロー『森の生活』を漫画で読む」 ジョン・ポーサリーノ編・絵
 絵本のような作りの本である。帰宅後、さっそく購入して、今じっくりゆっくり読んで(見て)いる。
 よい出会いをした。立ち寄った数々の古刹名所も、沼ッ原湿原も良かったけれど、一冊の本と出合えたことが、この旅の一番の収穫となった。

9月19日
 彼岸花はえらいなぁ。
 先週からチラホラと沿道や旅先でヒガンバナを目にしてきたが、台風の影響で降った昨日来の雨がいったん引いた今朝、買い物に出ると、道端に鮮やかな赤が、そして清廉な白が目に入った。大風が雲を吹き飛ばした後の やけに強い日差しの下で並んでいる。
 台風や地震の天変地異の連続にもめげず、彼岸の週に満開を揃えてくる。

   欲はなく、 けっして怒らず  

こんな風に私も生きたい。

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