ユーコさん勝手におしゃべり

1月18日
 今朝は寒かった。みぞれまじりの雨まで降っていた。
 美容院の予約をしていたので、ダウンコートを着て外に出た。今冬になってダウンコートを使ったのは2度目だ。寒いと思って着込んだ前回は、出先で暑くなり脱いで抱えて帰宅した。
 1月も半ばになってやっと2度目の出番となったコートに、暖冬を実感した。
 というのも、美容院についてコートを脱ぐ時、ポケットがふくらんでいるのに気付いてチャックを開けると、中に皮手袋が入っていたのだ。どこかに置き忘れてしまったとばかり思っていた手袋を それほど真剣に捜索しなかったのは、やはり必要を感じなかったからだ。
 思わぬところで失せ物がみつかり、とても得した気分で美容師さんにコートを渡した。
 担当の美容師さんは浅草育ちで、今でも自宅は浅草にある。髪を切ってもらいながら世間話をしているうちに、本場所中の相撲の話になった。
 以前、蔵前に国技館があったころ、中学生は入場無料だったのだという。中学生だった美容師さんは友だちと連れ立って見に行ったそうだ。
 「取り組みを見るより、支度部屋が面白かった。」
 「高見山が大きかった」
 「本場所のある日は、吾妻橋を拍子木を打って触れまわるんだ。」
 と、中学生に戻った顔で語った。
 両国に国技館が移ってから、相撲は見に行っていないが、一緒に相撲を見に行った友だちと、今でも休日は千葉にゴルフに行っている。のどかだった下町の土地の記憶は中学くらいで止まったが、人の気質は変わらないようだ。
 さっぱりと髪を切って、あたたかいダウンコートを着て外に出た。

1月12日
 急ぎの発送があって郵便局へ行く。いつもは 歩いて近くの駅前郵便局へ行くのだが、今日は日曜日なので、自転車に乗って葛飾本局へ行った。
 局近くの街路でロウバイが咲いていて、「あれ?」と違和感を持った。
 梅や桜は 葉がみな落ちてから花が咲く。冬枯れの野や道にポッと出現して、「枯れ木に花を咲かせましょう」 の様相を呈する。
 でも今日見た木々は、まだ葉がついていた。黄色い葉の中に黄色の花々で、なんだが淋しい。
 暖冬の影響かな、と考えながら郵便局で発送を済ませて、帰りにもう一度ロウバイを眺め、よく咲いている一枝に鼻を近づける。まごうかたなきロウバイの芳香だった。
 急に安心して、再び自転車をこぎだす。桜やポプラ、ハナミズキ、ほかの木々も気になって、天をあおぎながら店まで戻った。

1月4日
 年始の休日、自転車に乗って、江戸東京博物館へ出かけた。荒川を越えて隅田川沿いを浅草方面へ走る。街中へ入っても、会社は皆休みで、道路が広く感じる。
 年始の無料観覧日で博物館はほどよい人出だ。外国人観光客の様々な言語を音として聴きながら周ってゆく。
 出口階の客がほとんど日本人ばかりの一区画に、企画展「永井荷風と江戸東京の風景」があった。
 よく雑誌で見る晩年の荷風ではなく、写真が若い。
 永井壮吉の出生から、永井荷風が出来上がってゆくまでの、はつらつとして、ひょうひょうと夢破れて自分の道をつくってゆく若き荷風の道程が、背景となる時代の変遷とともにたどられていた。
 これが観られたのが、今回の一番の収穫だった。
 帰りはにぎわう総武線沿いの市街地から旧中川に出て、たくさんの水鳥にいやされ、再び荒川土手を上って店に戻る。
 年末から年始の数日間の休みの間に仕事で使っているノートパソコンを新調した。本当は同じものを何年でも使いたいのだが、こちらの意図よりパソコンは進化が早くて、そういうわけにはいかないようだ。中身はそっくり移行しただけなのだが、微妙に使い勝手が違う。
 「この機能が使えなくなった」「あの機能はどこへ行ったのだろ」 といつも使わない部分の頭と気を使った。
 そしてやっと新調パソコンの初仕事、お客様からの注文メールが新しいメーラーに次々表示されてゆく。新しいお名前、見知ったいつものお名前、うれしさが胸に頬にわいてきた。
 さっそく、書庫へ行き、はしごを昇り、本棚の前にしゃがみこんで、パソコンに表示された本たちを集めて初荷を作った。
 本を通じて、また良い出会いがありますように。 本年もよろしくお願いします。

12月のユーコさん勝手におしゃべり
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