ユーコさん勝手におしゃべり

10月4日
 旅に出ていない。
 去年までの、月に一度は気楽にどこかに泊まって、天気を見ながら、バイクに乗って、あるいは自転車で、車で、という生活が、どこか遠い国のことのようだ。
 旅のことを思い出す。そこで出会って話した人とは、もう二度と会うことはない。顔も覚えていないから、もし会ってもわからない。でも話したことは、心に残っている。
 たとえば旅先の露天風呂の中で聞いたおいしいごはん屋さんの情報。
 忘れないように、さっさと服を着て、脱衣場で店名をメモり、その日のうちに食べに行く。おいしかったら何度でも、その地方に行くたびにそこで食べ、いつの間にか店の人に顔を覚えられていたりする。
 今まで日常だったが、思い出すくらいだから、思い出になってしまった。 「新しい生活様式」では、露天風呂には無言で入り、道の駅のベンチではいっこおきに座るのだから。
 コロナ禍のおかげで店を早く閉めるようになって、早寝早起きが身につき、庭づくりに精を出せることは、予期せぬ収穫だった。

10月1日
 店横の小庭づくりが継続中である。
店主は、わいてくるアイディアに対応しきれず、
 「もうイヤだ、つかれた。」
 といいながら、設計図を書き直す。材木を切り、調節しながら思いを形にしていく。
 「どっか行きたいなあ」 といいつつ
 「明日は、コレやんなきゃ」 と翌朝のスケジュールを自分で埋めて
 「どっこも行けないなあ」 という。
 私は、日々増えてゆく木に、せっせと塗料を塗る。0.7リットルのペンキ缶も2缶目に入り、ようやく完成がみえてきた。 店主は木を切り、組み上げるたび
 「もう これで終わりだ」 というけれど、遠目から見ては微調整が入り、また翌日の課題となる。
 「そろそろ植物の準備をしてもいいよ」 と言われても、はじめは雲をつかむようで、ただ言われるまま動いていた私も、ハードが出来てくると、
 「ああ、ここにこれを植えて」 と具体的にイメージがわいてきた。
 春にならないと売り出さない苗もあり、半年一年計画で、新しい小庭をつくっていこう。
 飼いカメの方はもうすっかり新環境に慣れて、店番をしていても 外から、道行く人と会話している(?)のが聞こえてくる。喋っているのは人間だけでも、話しかける人にはカメの返事が聞こえるのでしょう。
 実際、秋のカメはギュとかキューとか、よく鳴きます。

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