『ユーコさん勝手におしゃべり』 バックナンバー目次

7月28日
 「正義って何?」
27日夕刊に、「米兵にアフガンシンドローム?」という記事があった。(朝日新聞2面) 米軍フォートブラッグ基地内で、わずか6週間の間にアフガニスタンの軍事作戦からの帰還兵が自分の妻を殺害する事件が相次いだという。いずれも軍曹が妻を、射殺、絞殺、射殺。そのうち2人は妻を殺害した後自殺―。この基地には陸軍特殊部隊作戦司令部があり、この3人以外にも同時期妻を刺殺した軍曹がいた。過去2年間にこういった事件はなかったのに、戦争による強度のストレスが引き金になった可能性があると司令部がカウンセリングの見直しを表明した。
 大統領は「正義」を語る。偉い人はバッチをもらって表彰される。でも実際に現場に行く人は、ふつうの殺人や傷害と同じ作業をしなければならない。個人的に恨みのない人を傷つけるというのは、いくら「国際社会のためだ、正義の行いだ」と自分を納得させたとしてもつらい仕業だろう。
 「自分のことは自分でしなさい」と幼児の頃から言われてきた。虫歯菌に対抗するために歯を磨くこと、行きたいところへ行くために、人に道を聞くこと、自分でルートを調べること。ゆずれない自分の要求を通すためにけんかをすることも、けんかという手段を避けてがまんしたり、他の人に情報を発信して根回ししたりすることも「自分の問題を自分で解決する」うちだろう。
 大きくなるに従って自分の欲求も大きくなり、自分の力だけでは足りなくなってくる。人間は組織というものを作りそれはどんどん大きくなった。本当は、正義を訴える大統領や、作戦の成功をとうとうと語るトップの人が自分で行ってやればいい。しかし、それは非現実的で、今や現実はいつも悲しい。

7月25日
 名前、名前、名前。全てのものに名前がついている。存在を認められたら名前がつけられる、ものでも、人でも―。TVニュースを見て、新聞を読んで、悲しくなる。何故こんなことにと思うような事件が後をたたない。そして、犯人の写真の下に名前がついている。みんな夢と願いがこめられた素敵な名前だ。その名前を誰かが彼や彼女につけた時、こめられた思いを考えると涙が出てくる。

7月18日
 人は、自分の目でしかものを見ることができない。自身本体に目がついているのだから当たり前だ。それで昔の人は、星がまわっていると思ったし、今でも子供は、お日様やお月様が自分について来ていると思う。一人に一つのお日様だ。
 天気予報を見ていて思ったんだけど、『全国の天気』だと各県に一つずつ太陽があるみたい。『世界の天気』なら各国にその国用のお日様―。本当は太陽は一つ、空はどこまでも続いている。だから、それぞれの地点で空を見上げたらどんな風に見えるか、その地点にいる人がどんな風に感じるかを予測しているのが天気予報なんだ。天気予報を立体模型でやったら面白いだろうと思う。
 「ここらへんの高さに雲があるので、今日ここの人はお日様が見えなくて、くもりです。」「この低さで雲が通るので、ここらへんの人は、雨を感じるでしょう。」
 本物の縮尺ではできないけれど、そんな天気予報なら、自分には今日は見えなくても太陽はいつもある、ということが感じられて、客観的になれると思うんだけど―。どうでしょ。
 昨年も花の咲くのが遅めで、ハラハラした店の横のむくげが咲き出しました。毎日一つ二つのつぼみが色づいて、ポカッポカッと開きます。「もう夏ですよ」と教えてくれるようでうれしい。これを、「自分に教えてくれている」と思っちゃうんだから、やっぱり自分も、自分フィルターでものを見る人、なんだな。

7月11日
 ここ2・3日の気候の変化はまるでジェットコースター。おとといは、朝からとても暑くて、自転車に乗って信号待ちしていると、このまま溶けてコンクリートと同化してしまうんじゃないかと思える位だった。近所の犬も玄関前のたたきの上でめいっぱい伸びていた。台風が来ているとラジオは言っていたけれどピンとこなかった。
 3時くらいから空が暗くなり、風が音をたて始めた。「明日は嵐」とテレビのキャスターが天気図を指す。早目に店を閉めて、数日前に挿し芽をしてついたばかりのサフィニアの苗を園芸用具を入れている棚にしまい込む。あの犬ももう玄関の中に入れてもらったに違いない。
 昨日は店のシャッターは閉めてラジオの台風情報を聞きながら店内でお仕事。不謹慎と思いつつ、非日常な感じに胸の底がちょっとわくわくしてしまう。
 そして今朝、台風一過の大晴天! しまってあったサフィニアをまた店の横の看板にぶらさげて、プランターをひと眺め。なぜかとんぼを複数見る。「今までいったいどこにいたんだろう。」 店の前の電柱の変圧器の下に巣を作っている雀の一家は夕べどうやって過ごしたのだろうか。どうやら無事だったらしく、今朝も元気に飛んでいる。巣に入る前くちばしがいつも半開きなのは、くわえてきたエサを飲み込まないようにしているのかしら―。さぁ、店を開ける前に、駅の改札前のつばめの巣の様子も覗いてこようっと。

7月3日
 月曜日、朝からしとしと雨模様だったので、店は開けず、店舗上階の書庫の整理をする事になった。「とりあえず」仕事をしたものが床に積み上がり、次の「とりあえず」に支障をきたすようになっていたのだ。本は自分で動けず、パソコンの中身のように「番号順に並べ」と号令をかけるわけにもいかない。その日東京はまさに高温多湿。本のあるところには、必ず温度計と湿度計が設置されていて、誰もいなくても本たちは快適に過ごしているのだが、その部屋から一歩外に出ると、ムアァ…、と一気に体力を奪う湿気が襲ってくる。「よく、あの人たちはこんな中でサッカーができたものだ」と改めて前日のワールドカップの決勝の勇者たちをほめたたえた。重い本をせっせと移動し、場所を作っては埋め、作っては埋めた。「今日は店開けないから、終わったら自由時間でいいよ」と朝店主は言ったが、結局夜遅くまで作業は続いた。翌日は当然腕と手首から疲労物質が噴き出すだるさだった。でも、すっきりした書庫に、労働意欲もわこうってもんよ。

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