『ユーコさん勝手におしゃべり』 バックナンバー目次

4月30日
 小さい頃に好きになったものは、今でもたいてい好きで、小さい頃に苦手だったものは、今でもたいてい不得手である。でも小さい頃と今とで、全然印象の違うものがひとつある。それは「群青」という色の名前。出会いは幼稚園か小学校一年生のころ、自分用の24色の色鉛筆の中にその色は入っていた。ひらがなで「ぐんじょういろ」と書いてある。「ぐんじょいろ?」声を出して読んだと思う。「ぐ・ん・じょ」という音のひびきが、色の名前らしからぬにごった感じで、なぜか私に嫌われた。ひらひらリボンのキラキラおめめのお姫様くらいしか書かない女の子にその青は不必要だったのかもしれない。船の絵を書くのも好きだった記憶があるので、名前は気に入らないけれどしぶしぶ使っていたかもしれない。 小学校中学年になっても、「ぐん」という音からは「軍」という漢字くらいしか思いつかなくて、何となく暗いイメージだった。そのうち、ひらがなで「ぐんじょういろ」と色の名前の書かれた色鉛筆は、私の生活圏から消えていった。 そして、ある日、「群青」という漢字と出会う。なんという美しい名前―。ぐんじょう―群れなす青。青くて青くて仕方のないような空の色と拡がりを感じさせる名前だった。
 今でも、不思議である。幼児の私が自分用の新品の色鉛筆の色をひとつひとつ読み上げていった時、私をがっかりさせたあの「ぐんじょいろ」のぐんじょうと、今その文字に出会うたび私をワクワクさせる「群青」が同じ色をあらわしているということがどうも解せないでいる。漢字のマジックだろうか。そんなわけで、あまり行ったことはないけれど「群馬県」というのもいい名前だなあ、と思う。「群れなす馬々」を想像して、なぜかロマンを感じてしまうのでした。

4月19日
弘前では桜が満開だそうだ。テレビで弘前公園の樹齢120年という染井吉野を見る。「行ってみたいな」と思うけれど、弘前はあまりに遠し、じっと手を見る。「世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」だな。
 しかし私には日曜日に根津に行く用事がある。根津神社はつつじが満開だ。「メーリさんのつつじ つつじ つつじ」と人には決して聞かれたくない鼻歌を歌って週末を待つ。
 話は変わって政界なんだけど…ひどすぎない? 日本の経済は不況感強く、内戦地域では明日をも知れぬ命の人がたくさんいるというのに、国会では、議員の過去あばきにずい分大切な時間を使っているようだ。きりがないー。いっそ、「無礼講月間」というのを作ったらどうだろうかと思う。その期間中に全議員は、過去(3年以上前位がいいだろう)に自分が犯した違法と思われる行為を告白する。その期間中に告白されたことは、包み隠さず全て語れば一切罪には問わない。もちろん今後同じ事をしないという約束の上でだ。「3年以上前」としたのは、それより現在に近いと生々しすぎて、罪に問わないというわけにはいかないからだ。どんな悪事でも罪に問わないとしたのは、そうでなければ絶対言わないだろうし、国会議員ともあろうものがそんな罪を犯したが、それでも(それが発覚しなくても)日本は滅亡せず、今とりあえず暮らしていけるのだから、この際疑惑の解明を優先しようということだ。そのかわり、その「無礼講月間」が終了後、その期間に告白しなかった悪事が発覚した時は、厳罰に処す。議員としての身分がなどと有無を言わせず、鋭い調査をして議員は辞めてもらおう。 だって、これ位しなかったら、疑惑の種は尽きるわけが無い。
 「一度も嘘ついたことない人でなければ立候補しちゃいけません」なんて言ったら、学級会とか町内会の役員だってなれる人はいなくなっちゃうよ。

4月13日
 ジャスミンの白い花が開きはじめた。うれしい。店の2階の窓あたりで最初の2・3個が開いたとき、私は店主は絶対気付いていないはずだと確信して、「ジャスミンが咲きはじめましたよ。知ってます?」と聞いた。すると「知ってるよ」と言う。「エッ」と絶句。何が彼を変えたのかといぶかっていると、「そんなの前からわかってたよ、ピンクのやつだろ」と言う。アハハ、やっぱり。「ピンクはつぼみですよ。半月も前にピンクのつぼみがいっぱいついてるって話題にしたじゃありませんか。」 花は目立つ純白だ。興味のない人には興味のないものは無いと同じなのだ。裏返せば私にも、目をあけていても見えていないものがいっぱいあるということだ。それが他の人にはとても大切だということもある。日々、「どんな人がこんな本を買うんだろうか」と思うような本に囲まれて暮らしている。自分にはわけのわからない本でも、それを大切だと思う人のために、折らないように濡らさないように、落とさないようにする。私には見えないものを見る人のために。

4月6日
 プランターで さつきが満開。 自転車で走っていると目のはじに藤の花が入ってきた。「まさかぁ、造花でしょ。」と思って自転車を止める。見れば生きた藤の房に満開の花がついている。5月の連休に楽しむものと思っていたが、今年は、何でも前だおしらしい。桜だけが早めに咲いたというわけではないので、店の脇でも、もうチューリップは終わり、ジャスミンがピンクのつぼみをめいっぱい主張している。ジャスミンの白い花も去年は5月の感動だったと思う。何だか早送りで季節を見ているような気分。春か、夏か、秋か、いずれかの季節をいつもより長くとって、つじつまを合わせるつもりなのか。
 もしこのまま全ての季節を早送りで先取りしてしまうと、今年は、クリスマスも早く来て10ヶ月くらいでおわりになってしまうような錯覚におちいる。

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