ユーコさん勝手におしゃべり

9月13日
 雨が降ったり日が照ったりして、少しずつ夏の花壇が衰えてゆく。季節がゆくのは黙ってみているしかない。次に植え込むチューリップの球根の数など算段しながら、時の来るのを待つ。
 過日、自転車散歩をした。天気のよい日だった。南千住のそば屋で昼食をとるつもりで店を出たが、食べ終えてそば屋を出ると、一緒に行った店主の自転車は帰路とは反対のほうを向いていた。そのまま自転車は吉原を抜け、浅草へ。路地から路地をたどり浅草の賑わいを見て向島百花園のわきを通る。萩まつりは12日からとある。今年も楽しみだ。
 路地は時々行き止まりとなり、Uターンを繰り返しながらも、隅田川沿いに出る。桜の名所で知られる隅田公園には釣り堀がある。その隅田公園魚つり場の入り口看板を見ると、
 「つり竿・エサは名人が用意してください」 と書いてある。
 「エッ ここに坐している方々は、皆名人?」
もちろん、その意は「つり竿・エサは各人が用意してください」に決まっているのだ。すぐとなりの売店には「つり竿あります」って書いてあるし、誰もが遊べる憩いの公園だもの。プラスチック文字の「各人」の線が一つ、自然に落ちたか、イタズラか…。先を走っている店主に追いつき、「面白いから見て」と引き返して店主にも見せた。
 荒川に出て堀切橋を渡れば、青木書店の店舗はもうすぐだ。店から2時間ほどの自転車旅で、自分が今暮らしている場所を改めて体感した。店にこもってパソコンと本しか見ていないと忘れてしまう。
 秋晴れの一日に感謝。思いがけない小旅行に連れ出してくれる店主にも感謝。
 リフレッシュした頭で、今秋も皆様のよい読書の秋に貢献したいと存じます。

9月7日
 空が高い。電線にトンボがとまっている。
 ビオラの芽が出た。紅葉の最初のひと葉がはじまった。
 街角でお祭りの準備が始まった。
 堀切菖蒲園の萩のトンネルの中は萩のつぼみでいっぱい。
 親亀子亀ひなたぼこ。
夏と秋のはざま、日差しは強いけれど吹く風は涼しい。
 夏を越えたごほうびに、天からのプレゼントのような9月のはじまりだ。
 よそ様の庭で、犬が全身の力を抜いて眠っていた。

8月のユーコさん勝手におしゃべり
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